ラドン(Rn)は、自然に存在するウラン(U)の子孫核種のラジウム(Ra)から発生する気体の放射性物質で、呼吸により人体に取り込まれます。ラジウムの放射性壊変によりラドンが生成され、地面や建材などから空気中に拡散します。ラドンは密閉した屋内などにたまることがありますが、窓を開けるなど換気を行うことで容易に屋外に排出されます。

日本のラドンの年間実効線量は世界平均の3分の1程度です。これは、地質の違いや比較的換気率の高い木造建築の家屋を調査の対象としていることが要因と考えられています。しかし、日本においても密閉性の高いコンクリートの住宅等が増えていますので、ラドン濃度が高くなる可能性があります。

この図は、1993年4月から1996年6月の約3年間にわたり、47都道府県のそれぞれ20家屋を対象に屋内のラドン濃度を日本分析センターが調査した結果です。屋内ラドン濃度は家の換気や建材によって変化します。

長期的に高い濃度のラドンを吸入すると、その壊変生成物が気管支や肺に沈着し、肺がんを誘発するなど、人体に影響をおよぼすことが考えられます。
ICRP(国際放射線防護委員会)は、放射線防護の基礎的な考え方や対策基準を示しています。屋内ラドン濃度の対策基準(何らかの措置を施す必要のあるラドン濃度レベル)として、200Bq/m3~600Bq/m3の範囲を勧告しており、各国において必要に応じて導入されています。
